「ストーリーとしての競争戦略」的にカルヴォはどうなのか?

昨年、私がハゲ薄毛を従来の価値観である、隠す・増やすではなく「魅せる」ことをネタに起業すると話した際には、多くの方がかなりの確率で呆気に取られた様子(笑)であったり、多分正直な反応が出てしまったのだと思いますが、思わず「ウソやろ!」「またまた冗談を~」といったコメントを数多く頂きました。

その後、「なるほど!」「着眼点が面白い!」など、かなりポジティブな反応を頂くのですが、大体、この驚きの反応の後に続くのが、ビジネスの世界に近い方々、普通の主婦の様な方々関わらず、皆さん間髪入れずに「で、それどうやって儲けるの?」っていう至極全うなツッコミでした。皆さん、儲けること、お金についての関心が非常に高いんだなぁ~と思いました(笑)。

私もその質問に対しては、その都度、その時々に考えている範囲での回答はしましたが、大体の方々は腑に落ちない感じでした。

でも、私はきっとそんなもんだろうなと思っていました。それは誰もが当たると分かっていることなら、既に誰かが上手くやっている訳でして、それはまるで当たると分かっている宝くじを買うようなものだとも思いました。一応想定しているものはあっても、それが上手くいくか分からないからこそ挑戦する意味があるのであって、上手くいくと分かりきっていることをやるのは、まるで大人が足し算、引き算をやるようなもので、意味が無いと思っていました。なので、やりながら見えてくることも多々あると考えています。

考えてもみて下さい。

私(現在44歳)より若い世代の人達は覚えていらっしゃるかは分かりませんが、私が高校生の時に伊藤園の「お~いお茶」が初めて発売されたのですが、その時代は「お茶は暖かいもの」「お茶は自宅や会社で飲むもの」というのが「常識」でした。

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また、水も買って飲むなんて一昔前までは考えれない価値観でした。大体中学、高校の部活の終了時間には部員全員でこぞって校庭の水道の蛇口に口をつけるなんてことをしていたのにも関わらず、いつしかミネラルウォーターを1本100円や100数十円で買う方が「常識」になっていったのは周知の事実です。

私はその当時の伊藤園の商品企画担当者や「エビアン」や「ボルヴィック」を日本に輸入した商社の担当者や「六甲のおいしい水」を企画した人がどなたなのかは全く存じ上げませんが、きっと「従来の常識」を変えるまでに大変な苦労をされたのではないかと推察します。しかし、一旦、生活者の「常識」が従来のものから、新しいものに入れ替わると、まるでオセロゲームのように一気に形勢は逆転していきます。ですので、それほどまでに「常識」というものは変わりやすいと思っています。

カルヴォも言わば、従来の常識への挑戦状を叩きつけているようなものです。しかし、この従来の常識を変えることが出来るかは分かりません。しかも、この「ハゲ薄毛」というイシューは人間の感情が複雑に絡む非常にセンシティブな問題です。ですが、この従来の常識をちゃぶ台をひっくり返すかのように変えられたら面白いだろうなと思います。

話が飛びます。

私が尊敬するカルヴォでもある、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建さんが2010年に出された「ストーリーとしての競争戦略~優れた戦略の条件」は約500ページものボリュームがあるのにも関わらず、経営書としてベストセラーとなったことを覚えておられる方も多いと思います。

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この本の中の数か所を引用してみたいと思います:

しょせんビジネスなのです。戦争でもあるまいし、戦略は「嫌々考える」ものではありません。まずは自分で心底面白いと思える。思わず周囲の人々に話したくなる。戦略とは本来そういうものであるべきです。自分で面白いと思っていないのであれば、自分以外のさまざまな人々がかかわる組織で実現できるわけがありません。ましてや会社の外にいる顧客が喜ぶわけがありません。

私自身、このカルヴォの話自体、自分でも面白いと思いますし、多分人に話しまくっていると思います(笑)ので、上手い戦略かどうかは別として、ここの部分については当てはまっているのかもしれないと思います。

続いてこんな下りも引用してみたいと思います。但し、重要なところが複数ページに跨って散りばめられているので、<中略>で繋ぎます。

筋の良いストーリーに独自のコンセプトは欠かせません。戦略ストーリーにおけるコンセプトの重要性は幾ら強調しすぎてもし過ぎることがありません。<中略>コンセプトづくりにとって大切なことを三つに集約して指摘したいと思います。第一は、これまでの話と重なりますが、すべてはコンセプトから始まる、ということです。<中略>ユニークなコンセプトの定義は、戦略ストーリーの出だしから、他社との「違い」を約束するものなのです。<中略>他社との明確な違いを定義するコンセプトがなければ、ユニークな戦略ストーリーは生まれません。<中略>誰に嫌われるか」をはっきりさせる、これがコンセプト構想にとっての大切なことの二つ目です。ターゲットを明確にするということは、同時にターゲットでない顧客をはっきりさせるということでもあります。<中略>全員に愛される必要はない。この覚悟がコンセプトを考えるうえでの大原則です。<中略>筋の良いコンセプトを構想するために大切なことの三つ目、多分これが最も大切なことだと思うのですが、それは「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」ということです。なんとなく耳ざわりの良い「良いこと」を羅列するだけでは、ユニークなコンセプトにはなりません。人間の本性とは、要するに、人はなぜ喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るのか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要としないか、ということです。

カルヴォのコンセプトはいたってシンプルです。

「ハゲ薄毛」に悩まれている男性に隠す・増やすを超えた第3の選択肢「魅せる」ことを通じて誇り・自信を再獲得して頂く

誰に嫌われるかについては、嫌われるというか、ターゲットに入らないのはハゲ薄毛に悩む必要もない男性の方々です。あるいは「ハゲ薄毛」と聞いて、「は?」と仰るような方々です。

カルヴォがハゲ薄毛というイシューを取り扱うことで、「恥」という深層心理に関わることから、人間の本性を捉えに行こうとしていることは明らかです。

カルヴォがどういう道筋を辿っていくのかについては私も楽しみですし、楽しみにして頂ければと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします(^^)