人類の薄毛との闘いの歴史:近世ヨーロッパ
近世ヨーロッパでは、カツラは邪道だ、神への冒涜だと言われていました。神の前で偽りの姿、偽りの髪をつけることが好ましくないとされていたのです。
17世紀になり、ルネッサンスを経て、欧州の生産性が伸び始めてからカツラは普及していきます。ルイ13世(ブルボン朝第2代のフランス国王:1601年 - 1643年)は、王妃の不貞などのストレスから若はげとなり、22歳でかつらを着用し、ヨーロッパにカツラを普及させた立役者になりました。
もちろん当初は薄毛を隠す目的として広まり始めたものですが、そのうちおしゃれ目的としても用いられるようになったのです。
ルイ13世の子であったルイ14世は長い巻き髪、頭を高く盛り上げるカツラを愛用していましたが、それが勇ましい印象を与えるということで富裕市民層に人気となりました。それが、いつしか貴族の嗜みとなりました。
やがて、そのルイ王朝も革命で倒れ、ナポレオン・ボナパルト(1769年 - 1821年)が登場し、欧州は動乱に陥ります。ヨーロッパを支配するほどの権力を持った屈指の英雄もハゲには勝てず、相当気にしていた証に、二角帽子を常に手放さなかったといわれています。
その後、英国発の産業革命が世界を覆っていきます。このタイミングで一般市民にもカツラという贅沢が普及し出すと言う流れになっていきます。